ー経験とデータが一緒に活きる現場づくりー
工場DXを小さく始める方法
📌 いま現場で起きていること
- 毎日の日報集計に1時間以上
- 設備トラブル履歴が残らない
- 不良が出た時の原因が後追いになる
- 材料在庫がつかみにくい
- 作業手順が属人化している
「何とか回ってはいるが、仕事は減らない」──そんな毎日をなんとか変えたい。
📌 DXは難しいものではない
「DX」と聞くと難しく感じがちですが、
現場が望んでいるのはムダを減らし、データを活かせる仕組みです。
高額なシステムは不要。
紙やエクセルを少しずつ置き換えるだけで、大きな効果が出せます。
📌 AppSheetとは?
〜現場で使いやすい理由〜
AppSheetはGoogleが提供する「ノーコードアプリ作成ツール」です。
- プログラム不要・IT専門知識も不要
- 紙の帳票・エクセルをそのままアプリ化
- スマホ・タブレットで現場から直接入力
- データは自動で集計・蓄積
「これならウチでも使えそうだ」と思える仕組みです。
📌 AppSheetはプログラム不要。でも「少しITの知識」があるともっと活かせる理由
AppSheetは「プログラムを書かなくてもアプリが作れる」仕組みです。
これは大きな強みで、今までシステムなんて触ったことがない現場でも始めやすくなっています。
ただ、まったくITに触れたことがない状態だと、最初は少し戸惑う場面が出てきます。
例えば、次のような部分です:
🔧 ① データの整理(表の作り方、項目の付け方)
- データは「表(一覧表)」で管理します。
- 例えば、日付・ライン名・生産数・開始時刻・終了時刻のように項目(列)を並べます。
- どんな項目が必要かを整理しておくのがコツです。
👉 ここは、今まで日報や点検表を書いてきた経験が活きる部分でもあります。
🔧 ② テーブルの関連付け(リレーション設定)
- 例えば、「ラインごとの設備情報」と「日々の生産実績」を分けて管理したい時。
- それぞれ別の表にしておいて、「ライン名」という共通項目で紐づけるという考え方です。
👉 ExcelでVLOOKUPや別シート参照を使った経験があるならイメージしやすいです。
🔧 ③ 簡単な計算式(LOOKUP・SELECTなど)
- 例えば「ある条件に合う生産数だけ合計する」などの計算。
- AppSheetにはLOOKUP・SELECT・SUMなどの関数があります。
- 少しExcelの計算式に似ていますが、AppSheet独自の書き方も少し覚えます。
👉 難しいプログラムというより、簡単な式の設定に近い感覚です。
🔧 ④ 条件ごとの表示切り替え・入力制御
- 例えば「今日はこのラインだけ選べるようにする」
- 「生産数が一定以上ならエラーにする」
- こういった条件付きの表示や入力ルールも設定できます。
👉 現場の作業ミスを減らせるポイントです。
✅ 要するに…
- まったくゼロから始めても使える。
- でも、少しだけITの基本をかじれば、もっと自分たちの現場にピッタリ合ったアプリに育てていける。
「少しずつ覚えながら育てていく仕組み」
これがAppSheetの本当の強みです。
現場の経験・工場の実情を一番知っているのは工場長や現場リーダーです。
その知識を「アプリという形」に落とし込むために、ほんの少しITの下地があるだけで格段に自由度が上がります。
📌 データベースとの連携もできる 〜もっと先の活用法〜
AppSheetは、最初は現場の紙帳票をアプリ化するだけでも十分に役立ちます。
ですが、少し慣れてくると「もう一歩先」の使い方もできるようになります。
そのひとつが、本格的なデータベース(倉庫のようなデータ置き場)とつなげる方法です。
たとえば、次のようなデータベースとつなげられます:
- Google Cloud SQL(グーグルのデータベースサービス)
- MySQL / SQL Server / PostgreSQL(広く使われている業務用のデータベース)
- BigQuery(大量のデータを扱うための仕組み)
これができると、どんなことが可能になるのか?
✅ 工場の生産履歴をすべて自動で蓄積し続ける
→ 何年分のデータでも、探したい時にすぐ出せる
✅ 複数工場・複数ラインの実績をまとめて管理できる
→ 各拠点の状況をひとつの画面で把握できる
✅ 経営層向けのダッシュボードに活用できる
→ 毎月の集計作業が不要になる
✅ 販売管理や在庫システムとも連携できる
→ 製造だけでなく、営業・物流・仕入ともデータがつながる
つまり…
工場内だけの小さな改善から、
「工場全体」「会社全体」の管理まで自然に広げていける仕組みです。
もちろん、最初から全部やる必要はありません
最初は、今ある紙の帳票を1つアプリにするだけで十分です。
そこから少しずつ慣れていけば、
「こういう使い方もできそうだ」
と自然に次のステップが見えてきます。
“小さく始めて、大きく育てる”
これがAppSheetを現場で活かす一番のコツです。
📌 現場で役立つ活用例
✅ 生産日報アプリ
稼働時間・生産数をタブレットで入力 → 自動集計
✅ 設備点検・保守履歴アプリ
日常点検を記録 → 故障傾向がつかめる
✅ 不良品・品質記録アプリ
不良発生時にその場で原因・数量を記録 → データが溜まる
✅ 原料在庫管理アプリ
材料の入庫・使用量を記録 → 残量が一目瞭然
✅ 標準作業手順アプリ
作業条件をデータ化 → 新人教育や標準化が進む
✅ 改善提案アプリ
現場からの提案を簡単に記録 → 改善が埋もれない
📌 【実際の変化】
不良の「見える化」で現場が動いた話
B工場では、紙で不良記録を残していたが、後から探すのが大変。
「せっかく記録しても活かせない…」と工場長は感じていた。
そこで不良記録をアプリ化。
現場でスマホ入力 → 集計が自動化 → データが溜まりはじめた。
3ヶ月後には
- どのラインで不良が多いか一目で分かる
- 原因傾向もつかめる
- 時間帯ごとの発生パターンも判明
ある日、朝一番に材料不良が集中しているラインが特定され、
保管方法の見直しで不良が激減。
📌 工場長が主導できる「ムリのない始め方」
- まずは今ある紙帳票をアプリ化
- 完璧を目指さず、1つから始める
- 使いながら「こうしたい」が自然に生まれる
- 若手のサポートも借りながら育てていく
📌 導入の費用感と準備
- 導入費用ほぼゼロ
- 月額数千円〜
- IT担当がいなくてもOK
- 既存エクセルもそのまま活用可能
📌 まとめ
現場の経験 × データの力 = 強い現場に育つ
- ムダが減る
- 不良が減る
- 設備も長持ち
- 人も育つ
「現場の困りごとを少しずつ減らす」
これこそがAppSheetを活用した現場DXの第一歩です。

